札幌指折りブリーダーのヘラクレス飼育方法公開!【Lucanus7】
皆さんお待ちかね!
北海道でも指折りのヘラクレスブリーダー、
Lucanusu7(ルカヌスセブン)さん
のヘラクレスブリードの話です。
後半には、入門者でもできるヘラクレス飼育の話をしていますので、最後まで読んでくださいね。
( 前回のブリードルーム紹介の記事を読んでいない方はこちら。)
今回お邪魔させていただいたルカヌス7さんの設備を一般家庭で揃えるなんて、ほぼ不可能。ここではどのような流れで飼育しているのかを教えてもらいましょう!!と、その前に。
Q:いつからヘラクレスブリードに目覚めたの?
僕が小学生のときですかね。
札幌市西区にあった、「ヘラクレスヘラクレス」ってショップに通い詰めていました笑
15年ぐらい前です。
Q:子供のお小遣いだけで飼育は難しくなかった?
親にねだりましたよ笑
小学校の頃、僕おこづかいなかったんで。逆に親がとても協力的だったんです。母親は、飼育用品などは結構買ってくれました。とはいえ月5000円いかないぐらいですけど。
ケースとかもテストで良い点とったりしたら1個大きいの買ってくれたりとか。
あとは何か、海苔の入ってた瓶みたいなものも積極的に集めてくれたり。ありとあらゆる瓶とタッパーを集めてくれました。おばあちゃんの家からもらってきたりして笑
Q:その時から血統物を購入してた?
ヤフオクなんかで、札幌のブリーダーさんからも購入してました。
IS とか LS が当時結構出てて、かっこいいな〜と思って買ってましたよ。そして、この頃からいつかは自分の血統を作り出したいと思ってました。今もその思いは強いです。
Q:Lucanus7としての将来的な目標は?
金銭的なところは、着地点は別にないかもしれないですね。
もちろんたくさん売れれば嬉しいですけど、でも、北海道にすごいブリーダーがいる!って言われるようになりたいです。
それこそ今やってるEZO‐クワカブフェスタが開催されるときに、大阪や東京の人が北海道まで来るみたいな。
そういうレベルの人間のうちの1人になりたいですね。
※EZO‐クワカブフェスタ。札幌で年に3回開催のこんな感じのイベントです。24年5月6日開催は入場制限をかけるくらい大盛況でした!
Q:レコード出したいとかじゃないんですね!!
自分のところで購入した方が、ブリードを楽しんでいただき、またじぶんのところで産まれた子を買いたいって思ってもらいたくて、管理ラベルにもQRコードで連絡先をつけています。
どんな質問でも、国産カブトのことでも答えますよ!って伝えています。ずっと僕のファンになって欲しいと思ってやっていますので。
また、イベントに来るお客さんのレベルも上がってるんですよ。質問の内容が、血統のことだったり飼育の踏み込んだところだったり。
なので、出店者全員でここでしか買えないとか、目の肥えたお客さんも満足できるようなイベントにしていきたいですね。
六:(運営としてプレッシャー。。笑
ではいよいよ、飼育方法教えてもらいます!
1)産卵セットについて
まず気になったのが、産卵セットですね。
□産卵セットは22℃の部屋にあるけどこの温度でいいの??
普通に飼育方法なんかを見ていると、25℃位がいいと言われるじゃないですか?この管理温度で本当に産むの??
□あくまでも自分のイメージなんですが。と前置きしたうえで。
L:「25℃以上でやってしまうと一気にたくさん産んで、すぐ☆になってしまうんですよね。」
「低めの温度で、じっくり長く産んでくれたほうが結果的に寿命も伸び、採卵の数も結果産多いような気がします。」
これの良いところは、羽化ズレ対策にもなるんです。一気に卵を採るということは、産まれるのも♀がたくさん羽化してきて、次に♂がたくさん羽化してくるんですよ。
でも、少しづつ産んでもらうことで2〜3ヶ月のタイムラグを作れる。最初に生まれてきた♂とあとに産まれてくる♀が同じタイミングでペアにし易いということですね。
六:なるほど。。。( 確かにウチの♀ちゃんは短命かも知れない。。。 )
□産卵セットから、卵を採ることが出来た!その後
六:その後は、どのぐらいのタイミングでこれに入れて、こうなったらこうして。といった幼虫の理想的なルートを教えてもらえると嬉しいです!
L:みなさんも同じだと思いますけど、最初はプリンカップやボトルで管理しますね。
L:こんな感じで卵3個ぐらい入ってるんすでけど、、
六:というか、こんな同じ場所に固めちゃっていいの?
L:あ、これは偶然に固まっちゃって。笑
どんな置き方をしても、大きくなる子は大きくなりますし、丁寧に管理しても☆になってしまう個体もいます。なので、どんな形で管理してもそこはひとつひとつの生命力次第なんだなと思っていますので。
六:こちらとしては、産まれたもの全てに期待を込めてても、確かに全部駄目になるときもありますよね。。
L:孵化してきたら、まずラベル作成です。
これは後々自分が忘れないように、販売するお客様への安心感のためにも絶対に間違えられないですね。
□孵化後にいれるボトルは?
六:孵化したら、最初にいれるボトルの大きさはどのくらいですか?
L:孵化したら、1週間くらいで1600CCのボトルに入れます。これで3例初期まで放置しています。
六:?? いきなり1600CCボトルなんだ!
L:そうです。次の交換の3令になるまではそのまま。なので大きめのものに入れてます。大体3〜4ヶ月程度ですよね。
L:3令初期になった段階で、コバエシャッターの中ケースに移します。このときに幼虫体重も測定します。大体30 g ぐらいになっているかな。
六:やっぱり大型個体を出すには、ケースは大きくしたほうが良い?
L:そうですね。色々情報はありますけど、ケースは小さいよりは大きいほうが良いです。マット交換の頻度もそうですけど、たくさんマットが入っている方が劣化もゆっくりなので。
L:そこからは3ヶ月おきに交換市ていきます。ちなみに、次の3ヶ月の交換で100 g を超えてるような♂はコバエシャッターの大ケースに移します。
六:スペースのあるブリードルームのなせる技ですね〜。
L:あとはもう正直見た目なんですよ。こいつは伸びそうだ!という個体なら、大ケースに入れてしまいます。そして伸びなさそうだな。。という個体は100gを超えても中ケースです。
六:(心の声)そんなでかいのうちには出てこない。これが血統の力か。
♀のいれるボトルは?
L:メスは羽化するまで1600CCのボトルで飼育して大丈夫です。これで70mm以上は出てきますよ。
L:あとはみなさんが知っている通りの流れです。ケースに窓が出来てしまったら人工蛹室へ。そうじゃなければこのまま自然蛹室で羽化させます。本当にセオリー通りですね。
六脚堂ブログ:ヘラクレスの幼虫飼育方法
六:流れは理解できました!では、細かい質問をします。教えて良い範囲でお願いします!
Q:マットは何を使っているんですか?
L:RUSHレギュラーマットの一択ですね。毎月200リットル以上使うので、コストパフォーマンスを考えるとこれしかないですね。
Q:例えば、ラッシュ届きました。
L:届いたら加水しないっす。全く。加水はするメリットもあるし、デメリットもありまして。
体重ものるし、幼虫がマットを食べやすいんですよ。でも、加水しないことによるメリットもあるんです。一番いいところは、マットの持ちが良くなるってとこですかね。
僕のイメージでは、ケースの中でマットの環境を作っていくみたいな感じで、最初サラサラでも徐々にマットが仕上がってくるんですよ。
後半に行くにつれて、マットのカロリー落としてって、ねっとりしたマットに仕上がってくようにして、蛹化させる。っていうのが狙いなんです。
ただ、初2令は水分あったほうがいいです。
Q:ガス抜きの方法は?
L:実はあまりしていないんですよ。なぜなら、これは今話したように、ケース内でマットの環境を作るイメージなんです。
実は、マット交換をするときに前のケースに入っていたマットはほぼそのまま次のケースに入れちゃうんです。すると、下のマットがどんどん古くなるわけです。劣化?しちゃっているという認識ではなく、最終的に下の層が熟成完了して黒土のような状態の中で蛹室を作ってもらう。
上にはどんどん発酵の浅いマットを継ぎ足していく。ケース内で、地層を作る感じです。ただ、これが正解かはわからないですよ!僕のイメージなんです。
六:なるほど。。。そこまで考えてマット交換もしているんですね。。
L:ただ補足があります!
マットに関しては常に試行錯誤を繰り返しておりまして。今の幼虫達は後半、IT-5さんのマットを使用し始めました。また、Hirokaさんのマットに切り替えも予定していますので、また秘密の飼育方法に入っていきます笑
□産卵セットのマットは何を使いますか?内緒ですか?
L:「そのまんま、RUSHマットやITマットです。」
六:添加の多いマットでも産むんだ!あと粒子も粗めじゃないですか?
L:「ぜんぜん平気ですよ!」
六:ちなみに組み方はなにか特殊なことはしていますか?
L:「いえいえ。全然みなさんがやっているのと変わりませんよ!」
Q:パンケースとコバエシャッターで加水量は変えてます?
六:これとこれ、(パンケースとコバエシャッター)素材が違うじゃないですか。これでマットの水分量変えたりしてました?
L:なかなか面白いこと聞きますね〜。
ケースの素材が、気密性に関係してるような気がしているんですけど、こっち(パンケース)の方が水分は保ちやすいですね。
六:逆にべちゃべちゃになって虫発生しやすいかなって。
L:パンケースとか塩ビ系の素材のときはもうちょっと空気穴増やしたりした方がいいかもしれないですよね。僕もたくさん開けています。
六:加水を減らすっていう方法は?
L:減らすのはいいと思います全然。
僕はもう、結構少なめでやってますね。加水はもうほとんどしてないです。加水してるブリーダーさんは多いと思うんが、うちはほとんどしてないんです。
Q:幼虫の人工蛹室の水分量の話
六:人工蛹室の水分量ってどのくらいですか??
L:ビチャビチャにはしないです。ちょっと乾燥気味くらいでやっています。
乾燥しすぎていると、前蛹だったり蛹だったりの水分を吸い取る原因になっちゃったという経験もありますが、水が多すぎることでその水が前蛹とか、サナギの方に流れて水太りする原因だったりしますよね。
一番前蛹が多分わかりやすいんすけど、ビチャビチャのオアシスに入れたらどんどん体重が重くなっていくし、乾いたオアシスに前蛹入れたら全部どんどんちっちゃくなってくるんで、イメージとしては、もう前蛹と同じ成分量が理想だけど、それを保つっていうのはほぼ不可能なんでとにかく感覚です。
六:かなり多くのヒントを頂いた気がします!
※一番上の棚に、人工蛹室用のオアシスを買いだめされていました。(私もこれを使っています)
48ブリックまとめ買いなら1個100円を切ります。こちらからどうぞ。
一般の人がヘラクレスを飼育するには!どうしたら良い?
L:まず、買うタイミングが重要です!
理想としては、春とか夏にオスとメスのペア買うのがまずいいでしょうね。(もう後食が始まっているペアを選びましょう。)
1)夏に買って、暖かい時期のうちに産卵セットを組むんです。
産卵セットは、コバエシャッター大じゃなくても、DAISOの20リットルのケースでもいいと思います。大きさ的には十分なので。
※ 8月にペアリング→11月の寒くなってくる時期にヒーターを導入
2)寒い時期に向けて
そこから飼育してだんだん秋になって温度下がってくると思うんで、ヒーターを使って、ちょっと20度ぐらいとか寒くなっちゃうと思うんすけど、ちょっと気持ち暖かくしてもらえればいいので。
春、夏、の最初の方は温度の高い状況を作れる。
これは、最初の初令幼虫の段階から温度が低いと成長すごい悪いんです。温かいときに成長させるということですね。
逆に温度が高すぎるときには、玄関の風通しの良いところに置いたりとか。小さな扇風機をおいて対応してください。30〜33℃くらいまでは大丈夫なので。
最初に高い温度で当たりをつけて、そこから成長が良くなってきます。
そして秋冬にかけて温度を20℃位でキープしてあげられると、そこからじわじわじわじわ伸びてくる。というイメージです。
3)そこから1年経って、夏になります。
すると気温がぐっと上がり、また餌食いが良くなってきます。そして秋頃になると、温度変化が大きくなるので蛹化し始めると思うんですね。すると冬ごろには成虫が出てくる。
こんな流れで持っていけるかなと思います。
一般家庭でできるぎりぎりの温度管理として、夏場は玄関とか涼しいところで管理し、冬はちょっとしたヒーターつけたり、温かい部屋に置いておく。そのくらいの温度管理で、羽化まで持っているんですよね。
※ 15℃を切る環境に長くおいてしまうと厳しいです。1日のうちで20℃を超える時間帯を8時間程度はほしいですね。
六:なるほど、季節感の温度を使った理想的な飼育ですよね。
さらに1段階レベルを上げて、
しっかり飼育したい。
六:そんな方に向けて、どんな物を用意したら良いか教えてもらえますか?
L:解りました。では、
・メタルラック1台購入します。
・それをスタイロフォームで囲うか、厚手のビニールシートを巻きます。
・パネルヒーターを入れます。
・熱帯魚用のサーモスタッド(3000円程度)で温度管理
こちらの記事をご参考ください。
L:僕は小学生くらいから、ずっとこれでやって来ました。
もしくは、10頭くらいなら(ボトル10個)大きな発泡スチロールを用意して、ピタリ適温で管理するのもいいと思います。
□ 使うボトルのサイズは?
六:ボトルサイズはどうでしょう。一般の方はコバエシャッターで管理できるほどスペースは取れないはずなので、できるだけ省スペースにするとしたら。
L:初令~2令後期は800CCのボトルに入れましょうか。大体最初の3ヶ月くらいです。 次の交換で1400CCのボトルに入れます。以降、雄の場合は14ヶ月くらいを目安にして、蛹化する前に人工蛹室への移動が必須になりますね。
人工蛹室の作り方はこちら
L:じゃないと、せっかくの角が折れちゃうので。
□ ではマットは何をおすすめしますか?
六:初心者さんはRUSHマットを購入するといきなり50リットルは使わないし、あの匂いを自宅でガス抜きするのも大変だし。そんな方には何のマットを勧めますか?
L:ん〜〜〜!飼育環境次第!としか言いようがないんですよね〜。
いろんなことを考えると、月夜野きのこ園さんの「完熟マット」でしょうか。
すぐ買える。在庫切れが無い。初心者でも扱いやすい。というのがメリットです。たくさん買えば送料無料だし!
とはいえ、何頭飼育できるか、ケースサイズは大きくできるのか、温度環境はどうだ。などその方の状況次第なので、僕から購入頂いた方には質問いただければ飼育方法にあったものをおすすめいたしますよ!
いかがでしたでしょうか!
本気で飼育しているブリーダーさんのブリードルームに始まり、そこでどんな飼育の流れで行なっているのか。(全部は流石に公開してくれませんね〜笑)
そんな状態を自宅で作れない人はどうすれば良いのか。
とんでもない情報量だったと思います!!
では次回はいよいよラスト!血統の話です。お楽しみに!!
□□□□□□□□ 今回使っていた用品のまとめはこちら □□□□□□□□□□
・3令までは1600CCのボトル。
・マットは月夜野きのこ園、 完熟マット を進めることが多い。
RUSHマット、IT5さんのマット、Hiroka Aマットで試行錯誤。
・3令初期になった段階で、コバエシャッターの中ケース
・人工蛹室用のオアシスのまとめ買いはこちら
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