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産卵セットの組み方

KAZ.YOSHII

産卵セットの組み方(基本3種類を紹介します

成虫をペアで迎えたら。 

その子達の子供を残したい!幼虫から育てて羽化するまでを観察したい!という衝動に駆られます。そのためには、♀に卵を産んで貰う必要があります。

そして♀が卵を産むための大前提として、「ペアリング(交配)」を済ませている必要があります。(ペアリングについてはこちら)

ペアリング後、普通に飼育している環境とは違い、より♀が卵を産みやすい状態を作り上げること。それを産卵セット。といいます。

マルガリータヒナカブト

□□□ 産卵セットを組もう! □□□

産卵セットにはクワガタとカブトムシでは違いが少しあります。更に、カブトムシの中でも種によって特性が違ったりします。

そこで、数種類あるセットのセオリーを覚えておきましょう!この3種を覚えていれば、あとは少しずつアレンジを加えるだけです!

1)マット産卵

  主に日本のカブトムシやヘラクレスオオカブトはこのタイプです。

  使用するマットは深い発酵(濃い茶色)マット。カブト系はこれを好みます。

2)材+マット産卵

  ノコギリクワガタやオオクワガタ、スマトラオオヒラタなどです。

  マットではなく、産卵材の中に卵を産み付けます。

3)水苔+マット産卵

  ヒナカブトと呼ばれる小さな外国産カブトムシはこのパターンが多いです。

の3種類です。

基本的にカブトムシは外国産も含めてマット産卵のみと考えて大丈夫です。ただし、カブトムシのなかでも「ヒナカブト」系は3)の水苔を使います。

クワガタは、マットのみのでも産んでくれる種と、産卵材を必要とするもの、また菌床だと産みやすい。といった場合もありますので、そのクワガタの特性にあったセットを組むことがたくさんの産卵へと繋がります。

以下、作り方のご説明をします。

1)マットのみでの産卵セットの組み方

□□□ 必要なもの □□□ 

・ケース

 ♀のサイズによって、S〜Lサイズを選びます。よく言われるのは、メスの体高の5倍以上の高さがあるものを用意します。

・マット

 基本的には発酵マットを使用します。

※ 写真は月夜野きのこ園さんの完熟マットです。

また、ホソアカクワガタ系やニジイロクワガタなどはフォーテックさんの産卵一番が人気です。他にも、RTNさんのNマット(Uマット)が良く使われているようです。

産卵一番

Nマット

完熟マット

あると便利なものはこちらです。

・トロ船(緑色のプラケース)

 建築現場で使われるもので、マットと水を混ぜたりする作業が楽になります。

・園芸スコップ 

・マットプレス(右上の銀色の専用工具)

 マットを固めるのに便利なグッズです。拳で押し付けても構いません。

 ※木製のものからアルミ製まで様々あります。

・産卵木(必要なときだけ)

・昆虫ゼリー

 産卵中は動かしたり覗いたりしないよう、ゼリーをたくさんおいておきます。

・転倒防止材

 ひっくり返った時に復帰できるものをおきます。パプアキンイロクワガタなどはキッチンスポンジを切ったもの。割り箸を使う方もいます。 小さめの枝や、産卵材を作る時に出てくる樹皮をひくのもOK。 園芸用の鉢底ネットを置いてもOKです。

□□□ 作り方の手順 □□□ 

1:マットに加水をします。

水分量はマットをぎゅっと握って、

パッと開いた時に固まるくらい。

握った時に、「じゅっ」とする感じがあるときは水分が多いです!

で、ちょっと押すと固まりがほぐれる程度が目安です。

あまり水分が多いと、産んだ卵に酸素が行かずに腐ってしまうので注意です!

また、マットが再発酵(リンク)することもあります。

ここが大事なのですが、手袋(もしくは素手)に細かくまとわりついて残るくらいでしょうか。

手にも少しだけ湿り気が付着するくらいです。

次にケースの中に、7分目程度までマットを入れて、上から強く押し固めます。

クリアスライダー(大)だとこのくらい。

※種によっては、下から3割くらいの場合もあれば、下から7割まで固く詰めることもあります。

その上から同じマットを2~3cm程ふんわり乗せます。

POINT

下の方3割位を固める場合、次の7〜8割くらいまでは軽く押さえつける程度にするなど、硬さの層を作ることもありますが、これは経験と♀の状況次第となります。

最後に転倒防止材と昆虫ゼリーを入れます。

 転倒防止材は、入れる♀の大きさにあわせ、大きめなら私はバークチップを入れています。ショップで売っている太めの枝などでもOK。起き上がれればいいだけですので。

ゼリーは入れない人もいます。なぜなら、

・すぐに♀が潜った場合、しばらく出てこなくなるから。

・マットにコバエが寄ってくるから。

・こまめに採卵を行うため、(♀を放置しない)餌の要らない環境だから。

小型のクワガタなどは、ハスクチップでもOK。

割り箸をたくさん入れる方もいますし、六脚堂ではパプアキンイロクワガタなどはキッチンスポンジを薄く切って入れたりします。スポンジは腐ったりしないので衛生的です。

ケースにフタをして終了です。

なお北海道など寒い地方では、冬に玄関などで作ると寒い為セット自体が冷えてしまいがち。

産卵セットが完成したらすぐに♀を入れずに、23〜25℃の環境に置き、マットをなじませるために1日程度おいてから♀を投入するのが良いと思います。

以上が、産卵セットベーシックです!

経験値が上がってくると、マットを混ぜたり固く詰めるポイントを左右でずらしたりと色々な方法で作ると思います!

まずはセオリーを覚えておきましょう!

おすすめの材料です!!

このページでは完熟マットを使用しましたが、黒土マットを混ぜるとより粘りが出ます。 

クリアスライダー(ラージ)

黒土マット

ハスクチップ

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2023-06-01

産卵セットの作り方(材をつかったセット

産卵セットの作り方(産卵材を使う

前述の産卵セット(ベーシック の手順に入る前に、先に産卵材の準備を整えましょう。

□□□ 作り方の手順  □□□

産卵材に加水します。

バケツやたらいなどを使い、材に浸水させます。六脚堂では半日程度。

なお、

※皮を剥いてから浸水させる方もいます。

※15分程度しか浸けない場合もあります。材の硬さや状態によりけりです。

加水後に、材を縦に置いて半日程度、日陰干しします。直射日光でやってしまうといきなりカラカラになってしまうので注意!

※加水時間を短くした場合は、乾かす時間も短く15分程度で。

そして樹皮を剥きます。

削る工具は100均でも購入ができます。ステーキナイフでもなんでもOKです。 

樹皮の内側に、ガサガサしたオレンジ色の部分がありますが、そこももすべて削ってしまいましょう。

次にケースの底面から2~3cmほどマットを固く詰めます。

その上に産卵材を横に入れ、隙間にマットを敷き詰めます。

※今回はセオリーとして材を半分程度埋めるセットとなります。種によっては、すべて埋めてしまうケースや、「転がし」といってほとんど置くだけ。といったバリエーションも存在します。

ショップやネットにて市販されているクワガタ用の産卵材は、長さが大体揃っておりまして、クリアスライダー(大)やコバエシャッターだとこの様にジャストフィットします!!!

間には、転倒防止材として削った樹皮を配置しましょう。

最後はふんわりマットを1cmほどのせ(樹皮の前に!)、昆虫ゼリーと転倒防止材を入れ、ケースのフタをすれば完了です!

最後に転倒防止材と昆虫ゼリーを入れます。

六脚堂では、高額なものはあまり使いませんが、カチカチに固い使わないようにしています。

POINT

種によっては材をマットで埋めてしまう場合や、「転がしセット」と言って、固めたマットの上に乗せるだけの場合があります。

写真は、半分だけ埋めていますが、「転がし」の場合はもっとマットの量を減らします。

以上が、材を使った産卵セットの組み方になります!

とにかく経験です!六脚堂は何度も失敗してきました!トライアンドエラーです!頑張って!

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2023-06-10

カワラ材を使った産卵セットの作り方

通常の産卵材を使わずにカワラ材を使った産卵セットを作る場合、手順に若干の違いが出てきますので確認しましょう。

□□□ 作り方の手順  □□□

カワラ材の袋を開けると、真っ白になった材が入っています。菌から排出される水分でビチョビチョになっていると思います。

通常の産卵材は、まず加水を行うのですがカワラ材は加水の必要はありません。

白いカワラ菌とともに、樹皮を剥くだけでOKです。

樹皮の内側に、ガサガサしたオレンジ色の部分がありますが、そこもすべて削ってしまいましょう

次にケースの底面から2~3cmほどマットを固く詰めます。

皮を剥いた材をのせます。

なお、「転がしセット」の場合はこれでOKです。

タランドゥスオオツヤクワガタ、レギウスオオツヤクワガタ、オウゴンオニ系、など、材に潜って産卵する種はこれで良いのです。

(その場合は、下に引くマットは針葉樹系の成虫管理マットなどでOKです。)

それ以外の場合は先に進みましょう!

材の周りを埋めていきます。指で押し付けながらぎゅうぎゅう詰めていきましょう。

ここで注意です!

カワラ材は水分が多いので、材を埋め込んでしまう場合はこのまま埋めるのはNGです。

1〜2日、日陰干ししましょう!

ぎゅうぎゅうと指で隙間にマットを敷き詰めます。

クワガタの種類によって、転がし、半分埋め、8割埋めなど埋める量のバリエーションが出てきます。(実際にどんな結果になるかは、六脚堂ブログなど参考にしてみてください。)

材を埋め込んだら、樹皮を引いて完了です。

最後はふんわりマットを1cmほどのせ(樹皮の前に!)、昆虫ゼリーと転倒防止材を入れ、ケースのフタをすれば完了です!

以上が、カワラ材を使った産卵セットの組み方になります!

今回は1本しか使っていませんが、2本、3本使う方もいます。これは経費の問題や、産ませる♀の数にもよりますのでご判断ください。

とにかく経験です!六脚堂は何度も失敗してきました!トライアンドエラーです!頑張って!

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2023-07-01

産卵セットの作り方(水苔をつかったセット

ーー水苔+マット産卵セットの組み方ーー

基本的には①のセットに対し、上に水を含ませた水苔をひくだけになります。

ヨツボシヒナカブト、ベルティペスビロードヒナカブト、マルガリータヒナカブト、

などヒナカブト系は、水苔をマット内に引きずり込んで繭玉を作り産卵床とします。

(腐葉土を代わりにする方もいらっしゃるようです。)

ただしまれに、孵化した幼虫が水苔を食べて☆になることもあるので注意も

必要となります。が、卵で採卵すると孵化率が下がるケースもあり、非常に

繊細な管理が必要になるところも面白いですね!

写真は、ムニスゼッチヒナカブト用の産卵セットになります。

ケースはクリアスライダー(大)

マットは月夜野きのこ園さんの完熟マットです。下5センチを硬詰め。

真ん中は少し押し固める程度。

水苔は、4〜5センチ分くらいの厚さがあります。セットのマットに加水した水苔を加える

というアレンジをされる方も。

POINT

ミルフィーユのようにする方法。

真ん中の層に、水苔とマットを混ぜたものを追加する方法が有ります。

ヨツボシヒナカブトなど、100%水苔が必要な種の場合これをするのですが、

  • 下から5割までをマット固詰め。
  • ↑のうえ、8割までをマットと水苔を混ぜたものを乗せる。(手で押さえつける程度)
  • 残りを水苔で埋める

とにかく経験です!六脚堂は何度も失敗してきました!トライアンドエラーです!頑張って!

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2023-07-10

番外編(100均ケースを使った産卵セットの作り方)

ーーー100均ケースの産卵セットーーー

なにも、正式なケースだけで産卵セットを組む必要はありません。

パプアキンイロクワガタや、ネブト、コクワ、小型カブト系など小さな種はこれでもいけてしまいます。私はホソアカ系などもこれで行くことが有ります。

今回はDAISOなどにある、2.5Kgのお米ケースを使ってみましょう!

空気穴はいくつか開けましょう。

同じくDAISOにある、不織布タイプのテープで穴を塞ぎます。

空気穴は窒息しないように必ず開けましょう。しかしそこからコバエが侵入しますので

必ず塞ぎましょう!

またこのお米ケースは蓋が分割式ですので、その部分からコバエが侵入しないようにすることが大事です。

そこで、洗濯ネットを被せておくのが良いと思います。

マットに加水をします。

袋で届いた状態で、加水が必要のないこともありますがまずはギューッと握ってみましょう。

(結構強く握ります)

ホロホロと崩れたら、加水の必要あり。

「ジュッ」という水分の感覚があった場合は水分がが多いです。少し空気に晒して水気を飛ばしましょう。

ぱっと開いて崩れずに団子になるくらいでちょうどです。

これは慣れてこないと本当に微妙な加減は言葉では伝わりにくいです。

団子を崩したあと、手袋に少し土がへばりついているくらいがベストです。種によっては水分が多めのほうが良いこともありますが、水分が多いとケースの底に空気がいかず、マットの劣化や卵を腐らせることもありますので注意しましょう。

水分調整だけは経験値が頼りなところもあるので頑張りましょう!

ではマットをケースに入れ、ぎゅーっと固めていきます。

これはもうカチカチになるまで。クワガタが柔らかい木だと勘違いする硬さをイメージしてください。

カブトムシ用なら、何年も腐葉土が覆いかぶさった地面を想像してみてください。

ほら!カチカチでしょう!?彼らが住む大自然をケースの中で再現するのです。

7割固めたら3割はふんわり。てで抑えるくらいでOKです。

最後に水苔をマットの上にまんべんなく敷き詰めます。小型種は、ハスクチップや水苔があれば転倒後も起きあがることができます。六脚堂ではキッチンスポンジを薄く切り取って入れることも有ります。

腐ることも無いので便利です。

これで完成です!!

今回は産卵セットの中でもベーシックなものを3タイプを紹介しました。

産卵セットはとても奥が深いものです。クワガタ、カブトムシの飼育ケースの中で自然を再現するのが産卵セットです。

 クワガタ、カブトムシ、その種類や割り出し後の幼虫飼育スケジュールによって使うマットを変更したり、カワラ菌床ブロックと言われる菌糸をそのままダイレクトに入れたりする手法もあったり、菌糸ビンを横にしておくだけ。など様々なバリエーションがあります。

 まずはベーシックな産卵セットから始めてみましょう!

数多くの採卵、割り出しを体験したら、クワガタの生息地の気候や土壌をイメージして様々な産卵セットを組んでみましょう!

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KAZ.YOSHII

映像・WEB・システム開発の会社「WILLPLANT」の代表取締役。

会社内で、幼虫飼育1000頭を行なっているカブクワおじさんでありつつ、ラジコンバギー(ストック)で2022年、全日本16位(JMRCA)。

カブクワバトル動画、カブトコロシアムの主宰でもある。

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