カブトムシ・クワガタのペアリング方法
あなたはカブトムシ・クワガタの飼育を始めてから、何種のクワガタ・カブトムシを何回ペアリングをさせてきましたか?どの様な方法がベストだと感じていますか?
そうです。
ブリードに絶対的な正解などないのです!!ないのです!ないのです〜。
※今季、阿古谷RR(レッドボディ・レッドアイ)の国産カブトムシを私は3ペア用意して
累代に臨みました。成功したのは1ペアのみでした。
同じ種でも、♂♀それぞれのポテンシャル、成熟の度合い、飼育している部屋の環境、使用しているマットが同じでも、生産ロットによるちょっとした違い、そのときの加水の具合、使用しているケース(ボトル)、管理温度。ギネスブリーダーさんと同じものを使用し、環境を準備していても、各種ブログやyoutubeの情報から同じようセットしたとしても、地域の温度差、環境の差が絶対的に存在します。
よって、セオリーはあっても、「100%大丈夫。」ということはないのです。これは頭に入れておいていただけると幸いです。
以下に、ペアリングセオリーをお伝えします。あくまでセオリーです。
ペアリングの真髄は、
・その子の持つポテンシャル
種親となる♂のポテンシャル
受け取る♀の産卵ポテンシャル
・♂♀の成熟度合い
およそ羽化後◎ヶ月、後食し始めて◎週間。など基準はあっても、「生き物」なので、個体ごとに違うのです。
「産まないのはなぜか。。。」「何が足りないのか。。。」
と迷宮に入り込んだとしても、気にすることはありません!!
そんなときは、成熟タイミングと、その子のポテンシャルも有るんだ。と思い出してください。
ーーーカブトムシ・クワガタのペアリングバリエーションーーー
まず、ペアリングは大きく分けて2種あります。
1)「同居ペアリング」
その名の通り、一緒の空間に♂♀をおいて、自然にペアリングをしてもらう方法。
2)「ハンドペアリング」
その名の通り、人の手で半ば強制的にペアリングしてもらう方法。
ではどちらを選ぶべきなのでしょうか。
実は、ペアリング中、明るいところで人間がいても平気な種と、暗く静かな場所じゃないとペアリングしない(しにくい)種もいます。
その、彼らの意志に従うこともとても大事なのです。
「同居ペアリング」の方法
同居ペアリングとは♂と♀を同じケース内にいれて自然にペアリングをすることを待つ方法です。
写真はノコギリクワガタです。
餌場を一つにして、♂と♀がゼリーを目標に出会えるようにケース内を整えます。
また、床材を3cm以上の厚みで引いてしまうと♀が潜ったままで♂と出会えなくなるのであまり深くしないようにしましょう。
ただし、♀の逃げ場も必要になるので転倒防止材や、写真の餌皿のように下に潜ることのできるものも一緒に入れてあげると優しいです。
※ケースはデジケースのHR-2を使用
また、パプアキンイロクワガタやなど小型種に大きなケースを使用すると、出会うタイミングなくなってしまいます。その場合はプリンカップや小さめのケースで準備をしてみましょう。
※写真は直径10センチ程度のカップ。
小さなカブト系も同様です。
カブトは挟むことはありませんので安心ですが、ヘラクレスや大きな種は♀をいじめたりするのでこのあと説明するハンドペアリングが望ましいかも知れません。
※ヨルゲンセンヒメゾウカブトは小さく、おっとりしているので同居でもOK!
「同居ペアリング」における注意事項
1)クワガタはアゴしばりしないと♀をまっぷたつにするリスクあり!
しっかり成熟していない♂などは♀も敵とみなすことがあるので注意です。また、♂を入れている飼育ケースに♀を入れると縄張り内に敵が入ってきたとみなすので、♀の飼育ケースに雄を入れるのがいいとされています。
(種によって縛らなくても問題ないものもいます。タランドゥスオオツヤクワガタなどは♀を攻撃することは非常に少ないです。)
ちなみに顎縛りをすると、なれない環境にジタバタする♂もおりますが、1日で落ち着きますのでご安心ください。
顎を縛られて、まごつくラフェルとのこぎクワガタ。
顎縛り直後のアマミノコギリクワガタ
2)確実にペアリングができたかどうかは不明である。
同居ペアリングは目視できませんので、メイトガードをしているか?などで判断します。
3)どのくらいの期間一緒にするか?
3日という方もいれば 7日という方もいます。♂♀ともにしっかりと成熟していれば、1日で済んでいる。と言う方も。こればかりは確定できません。生き物ですし。
産卵セットに入れた後、1ヶ月もの期間を無駄にしないよう、しっかりと時間を取りたいですよね。寿命の長い種は多少安心ですが、寿命の短い種ほど慎重に行いたいものです。
同居ペアリングはこの3点を注意しましょう。
それらを踏まえた上でチャレンジ!!
メイトガードとは。
ペアリングが終わると♂は自分の種を残すために、他の♂に奪われないよう♀に覆いかぶさる行動を見せます。これがメイトガードです。
この行為が見られると、高い確率でペアリングは完了しています。
アゴ縛りをしない方は、2〜3日と短い期間にされるようですが、X(旧Twitter)などで真っ二つになっている♀の報告をされる方もいるので注意です!
「ハンドペアリング」の方法
私達が見ているわけですから、最悪の事態は回避できます。しかしながらクワガタの場合、やはり♀を♂が挟んでしまう。というリスクはありますので、霧吹きや水を入れたタッパーなどを用意しましょう。
♂が♀を挟んだ場合、水をかけると離れやすくなります。
ポイントは、ハンドペアリングを行うためのフィールド作りです。これは私の経験上の話ですので、ご参考程度に。
床面がツルツルした状態だと、♂も♀も引っかかりが無いためペアリングが始まりません。
1)飼育ケース内で
ケース内、下にはセルローススポンジをひいています。足場がしっかりしていないと力が入らないので有効でした。
こちらはオオツノメンガタカブトです。
ちょっと見づらいですが、この子達は足場が無くてもペアリングは完了していました。
(しかし、オオツノメンガタカブトは難関種。。卵を産むことはありませんでした。。)
また、この様に♀が逃げ惑うこともあります。30分以上この状態が続くときは、来を取り直して明日、明後日、もう一度仕切り直しましょう。
逃げるマルガリータ
2)発泡スチロール
ヘラクレスのような大きな個体は、ケースの中でのペアリングは角が引っかかってしまい、うまく♂がポジションを取れないこともあります。そんなときは、大きめの発泡スチロールの板を使うこともあります。
足のかかりもちょうどよいので、非常に便利です。
3)園芸ネット
こちらはグランディスコフキカブトです。
小さい種なので、小さなタッパーの中に園芸マットをひいて見ました。
これも足場としては優秀ですが、引き離すときに爪が硬くロックしやすいのでちょっと苦労しました。金物のふるいを利用される方もいますが、引っ張る力で符節にダメージを与えたくないので最近は利用を控えています。
4)木や枝の上で
写真はゴロファポルテリです。
平面でのペアリングはとても苦労しました。3回ほどチャレンジしたものの失敗に終わりましたがどなたかのブログで、枝に乗せたらすんなりペアリングができた!という記事を思い出し、やってみたところ数秒でスタートしました。やはり自然に近い環境が一番と言うことかも知れません。
写真はネプチューンオオカブトです。
成熟はしていましたが、ペアリング待機中でした。その間に写真撮影をしていたところ、目を離した隙に始まってしまいました。。。ゴロファポルテリ同様、自然環境にDNAが反応するということなのでしょうか。
この後、ネプチューンは爆産します。
大きめの産卵木の上で
こちらはグランディスオオクワガタのペアリング動画です。
交尾意欲が強くない種なので、1〜2時間ほど掛けて目視するまで行います。参考にしてください。
以上です。ペアリングの方法、タイミングは様々あります。
どれも間違いの無い方法ではありますが、人がいるそばではペアリングをしない種も存在します。また、ペアリングが成功したといえども、卵の産卵数は♀のポテンシャル次第。
たくさん産んでも、無精卵のため溶けてなくなることもあります。その場合は♂のポテンシャルも大きく影響しています。
何度も言いますが、ポテンシャル次第です。
産卵セットに入れる前の床材に卵を産む子もいます。マットの上でサナギになって、そのまま羽化する子もいます。中古のマットに100頭産卵する子もいます。
言えることは、昆虫も人間と変わらない生き物であるということです。なので、プロブリーダーさんは、多くの♀ちゃんで産卵セットを組むのです。
すべてがセオリー通りには行きませんので、とにかくたくさんチャレンジしてみましょう!!
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