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冬の温度管理の必需品!

KAZ.YOSHII

『ピタリ適温VS マルチパネルヒーター』

冬に近づいてくると問題になってくるのは、「飼育温度」の管理ですね。

国産カブトやノコギリクワガタの幼虫は冬眠(休眠)します。ですが、東北よりも北側の地域。六脚堂の有る札幌も、厳冬期は家の中でも限りなく0℃に近い環境になってしまいます。

オオクワガタやコクワガタの成虫など越冬(休眠)できる種は良いのですが、海外のクワガタ・カブトムシは成虫も幼虫も、一定の温度管理が望ましいのです。

しかしながら、日々家族で生活しているお家のなかで、お部屋の中の温度を一定にするのは電気代もさることながら、ご家族の協力も必要になってきます。(まあ、問題は電気料金ですが笑)

そこで今回は!

大切な成虫、幼虫を元気に冬を越してもらうための設備をどの様に作る必要があるのかを、ここでは説明させていただきます!!

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【この記事で得られる知識】

1)各種ヒーターの特性と実力

2)冬の幼虫の温度管理方法

3)冬の成虫の温度管理方法

となります。

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早速始めていきましょう。

1)各種ヒーターの特性

今回見ていただくのは、昆虫飼育では王道である2点のパネルヒーターとなります。

・左が、みどり商会  ピタリ適温プラス( 3号(15w)というサイズです)

・右が、ビバリア  マルチパネルヒーター(32wタイプ)

両方の商品とも厚さはなんと1m以下!

そしてもうひとつすごい機能!!

「周囲の温度を感知して自動で温度調整」をおこなってくれるという、日本の技術の推移を集めた高性能商品なのです!!!!(非常に安価な似た商品がありますが、それは除外しますね)

このパネルヒーターひとつで、飼育温度を自動的に調整してくれるのは最高ですよね!

それでは商品のサイズ、ワット数などを比較してみましょう。

両商品とも、爬虫類や小動物の管理を基準にしていますので、昆虫にもちょうどいいサイズです。

ビバリア マルチパネルヒーター

(説明書より)

みどり商会 ピタリ適温プラス

1号 : 18cm×15cm( 4W相当) 2号 : 22cm×25cm( 8W相当) 3号 : 43cm×25cm(15W相当) 4号 : 55cm×22cm(20W相当)

非常に近しい2商品ですが、1つ大きく異なる点があります。ビバリアには温度調整機能がついている点です。

このためでしょうか。価格はピタリ適温の約2倍となっています。

これをメリットと捉えるか、不要な機能と捉えるかは、使う際の環境次第になります。(後に紹介します)

これで変わってくるのが消費電力!

温度調整機能によって電力の違いがあるのでしょうが、15wで24時間つけっぱなしだと、およそ9円程度かかりますが、32wだと21円になりますね。(電力会社での違いはありますが)

1ヶ月の運用で、2700円か、6000円か。

結構大きいですね!ここまでで、商品の特性をご理解いただけたでしょうか。

ではいよいよ、暖房能力を実験してみます。ここでは、幼虫に最適な23~25℃になるように設定できれば合格としましょう。

まずはピタリ適温から。

発泡ケースに本体を設置します。(ただ置くだけ)

本体表面は、45℃(±5℃)まで上がるようなので、「すのこ」的なものを敷いて、直接ケースや菌糸ビンに触れないようにしましょう。

今回用意した発泡箱のサイズですが縦350mm×横550mm×高さ250mmです。

実験段階ではケースは入れません。必ず、温度の調整実験を行ってから入れるようにしましょう。温度が上がりすぎて、大惨事!などを避けるためです。

外気温は18℃です。

六脚堂の倉庫は1~2月頃は5℃を切ります。

箱には空気穴がいくつか空いています。

蓋の隅に4箇所。

こんな感じで空いています。

そして横面に一箇所。

蓋を締めてどのくらい温度が上がるのでしょうか。

電源を入れてから30分経ちました。

計測です。

外気温は18.9℃。中は27.5℃まで上がっています!いい感じ!

おや、中の温度計と差がありますね。

センサーを蓋につけていたので、上と下で差ができているのでしょうか??

もう30分待ってみましょう。

電源をONにしてから、1時間が経ちました。

ほぼ変わらず温度キープしています。中の温度計は26℃になっています。どちらを信用しましょうか笑

先程も言いましたが六脚堂の環境では、1〜2月には外気温が5℃以下まで下がってしまいますので、そうなった時にどんな温度推移になるかが肝ですね。

その頃には毎日のチェックが必要です。しかしこの温度帯は、産卵セットに最適な25〜28℃帯です。幼虫飼育には少しだけ高い温度になります。

ピタリ適温プラスは、周囲の温度を25〜29℃に自動設定してくれるヒーター。23℃位で落ち着いてもらうために、少し細工をする必要が出てきました。

この場合の対処方法を考えて見ましょう。方法はいくつかあります。

1)もう少し大きなケースに変える

箱のサイズが小さいため、温度の自動設定により温度が上がっています。

※ただし、外気温がもっと下がった場合はちょうど良いかもしれません。

同じサイズの発泡ケースをもう一つ用意し、上下でつなげるのです。

こちらの方は発泡スチロールを2階建てにしています。

  http://ayappe02.blog.fc2.com/blog-entry-151.html?sp

2)空気穴を大きくして暖気を逃がす

  ケースを変えることなく冷気を取り込むイメージです。

  ※外気温が下がって、温度が上がらない場合は塞げばいいですね。

3)ピタリ適温プラスの2号に変更!

3号で十分すぎるくらいの温度に上がることがわかったので、サイズを小さくすることで温度は下がります。

4)サーモスタットを導入する

これはまた別途でお金がかかってしまいますが、一定の温度を超えると  電源がOFFになり、設定温度よりも下がったら再度電源がONになる。という機械です。(この説明は後半で行います)これらの手法を用いて、23℃をキープできる環境を作りましょう!

では、次にビバリア マルチパネルヒーターの番です。

こちらはなんせ、温度調整機能がついています!この機能で制御できれば、こちらに軍配が上がりますね。ちょっと見づらいですが、Lの部分で行ってみます。(ダイヤルで一番低い温度設定)

30分後に計測してみます。

ピタリ適温よりも、縦の長さが5センチほどビバリアさんは長いです。

中も外もほぼ同じところから計測スタートです。

30分後。確認したところ。↑の写真と温度が変わらずでした。。

なぜだ!!!

作動ランプが消えている!ダイヤルをLからHの方にゆっくりと回していくと、Mの少し手前。この位置でランプが点灯しました。

この感覚は、、、完全にサーモスタッドではないか!!!!中の温度は21.8℃を示しています。

ということは、ビバリアの温度センサー自体が、電源をつけるべきいではないと判断しているのです。よって、Lの近辺の設定は、周囲温度が21℃程度を基準にしているということです。

ここは23℃でキープしてもらうために最適値を探したいところ。

ランプの付いたダイヤル位置から、再度30分後に計測を行ってみます。

30分後。。。ありゃりゃ。また消えていました。

おそらくこの温度計が指している21〜22℃が基準だったのかもしれません。逆に考えると、ピタリ適温は高温に持って行きたがるので、低めの温度設定がほしい時にはビバリアのほうが優れているのかも知れません。(サーモスタッドの必要もないですし。)

いずれにしても、「M」にダイヤルを合わせるとどんな変化が起きるのかを確認しましょう。

と、その前に。ダイヤル位置の基準温度を説明書で確認してみましょう。

Lは25℃となっています。今回は21℃では作動しなかった。「室温が20℃時」となっています。今回は外気温18℃。外気温よりも3℃高く落ち着いている。

Mの位置では35℃。

少し高めですが、30℃にもなっていませんでした。

設定値誤差が5℃となっているので若干ゆらぎが大きいのかもしれないですね。

説明書より

ケースの中にある白い温度計は、Switchbotと言いまして温度変化などのログを取ってくれるという優れもの温度計です。

温度計は夕方の計測から次の日の朝まで行いました。外気温はスタートの18℃から14℃まで下がっておりましたが、発泡ケース内は常に22℃近辺をキープしています!

ちょうど22℃で推移してくれていました。

ピタリ適温は、このくらいの熱量が出ているということがわかります。

では、今度はHの位置で実験です

1時間後、27度まで上がりました。

グラフでもお分かりの通り、午前10時にダイヤルを上げています。現在28.6度まで来ています。

ビバリアの場合は、ここから少しづつダイヤルを下げていくことで、23℃をキープできるところを見つけるだけで、他の加工などはしなくて良さそうですね。

この様に、パネルヒーターを導入する際は、ケースの大きさも違いますし、環境温度変化も違いますので、必ず数日間の運用を経て導入しましょう!

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注意!この2点の商品は

*暖房専用です。減温は出来ないのです。

*防水使用ではありません。水滴や湿気に注意しましょう。

*シート表面温度が25〜40℃になります。ケースや菌糸ビンは直接触れないようにしましょう!

六脚堂で使用している、

ピタリ適温はこちら。

ビバリア マルチパネルヒーターはこちら。

室内、室外の温度を同時に図れる温度計はあると便利です。

ドルクス暖家さんの説明資料がとても見やすい!可愛いし!ということで掲載してみました(^o^)

引用WEBページ

https://www.e-mushi.com/f/heatplate.html

これで冬の温度管理はバッチリ!!

寒さで幼虫、成虫を☆にしないようにしましょう!!

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2023-11-01

サーモスタッドを使った冬支度

上記の記事にて、ヒーターの説明をしましたが、一定の温度管理をどの様に行うかが肝になってきます。できれば2〜3℃の範囲内で収めたいものです。

エアコンのある部屋で一定管理。最高です!しかし、部屋を潰すなんて難しいです。

そこで、

六脚堂では、ヒーターにはサーモスタッドを併用しています!

1)国産カブトムシ、国産ノコギリクワガタ幼虫の越冬のため!

冬の札幌はとても寒いです。

パネルヒーターで、25℃を常にキープしてしまうとカブトムシやクワガタは冬眠状態に入らずに、3月くらいには羽化してしまいます。

そのため、11月から3月まではケース内の温度を「5℃〜10℃」の間でキープしておきたいのですが、ピタリ適温、ビバリア、両商品ともに温度が高めになってしまいます。

これを避けたいのです。

そこで使用しているのが、サーモスタッドです!

↓ サーモスタッド説明図

アサヒ 電子サーモスタッド

こちらは、アサヒ 電子サーモスタッドです。

ちょうど良いダイヤルポジションは日々選択するようにしていますが、誤作動を起こしたことは一度もありません。

これを利用したことで、とても気が楽になりました。あとは常々、温度計を確認するだけですみます! 

2)産卵セットの管理に

多くの種の産卵セットは、25℃以上を推奨しています。そのほうが♀は産卵行動に移りやすいからです。

更に、我がブリードルームの25℃帯のスペースはやや小さく、ヘラクレスなどの大きなケースを収容するのが難しいのです。

夏の期間は良いのですが、春・秋は15〜19℃がいいところ。これではセットを組むことが出来ません。ここで、サーモスタッドと熱源が重要になってきます。

これは、大きめの発泡スチロール。(昆虫ショップからのいただきもの)

これはGEXのサーモスタッドです。

設定温度は24℃。これは、24℃を超えてから電源が切れるため、25℃ほしいのですが

調整のためにあえて1℃低くしてあります。使用前には必ず箱のサイズや外気温で実験をおこない、ちょうどよいポイントを見つけてください。

環境によって温度は結構変わりますので。

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注意!サーモスタッドには許容ワット数がありますので、使う熱源に対してワット数が範囲内かどうかを確認してくださいね!また、ピタリ適温はサーモスタッド内蔵ですので、併用は推奨されておりません!

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熱源は、小動物用のヒーター。

温度センサーを置く位置も非常に大事です。このセンサーが温度を計測し電源のIN/OFFを司りますので、この位置をこの温度にしたい!というイメージでポイントを探って見てください!

外気温による影響は非常に大きいので必ず試し運転を!

六脚堂は厳冬期は3℃まで冷えます。ソコまで行くとパネルヒーターでは25度までは持ち上げられませんが、国産カブトやノコギリ、ミヤマなどを凍らせることなく越冬させるために利用しています!

これらを活用して、ぜひ素敵な生体を羽化させてあげてください!!

□□□□□ 今回使った用品はこちら □□□□□

アサヒ 電子サーモスタッド

GEX サーモスタッド、 小動物用ヒーター

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KAZ.YOSHII

映像・WEB・システム開発の会社「WILLPLANT」の代表取締役。

会社内で、幼虫飼育1000頭を行なっているカブクワおじさんでありつつ、ラジコンバギー(ストック)で2022年、全日本16位(JMRCA)。

カブクワバトル動画、カブトコロシアムの主宰でもある。

WILLPLANTのWEBはこちら コンテンツ制作:カブトコロシアム

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