アトラスオオカブトの飼育方法|ペアリングから幼虫管理まで
『アトラスオオカブトとは』
大きな3本のツノに魅了されるファンが多いアトラスオオカブト。
そのことから英語ではスリーホーンビートル(Three Horned Beetle)と呼ばれています。
「アトラス」の名前の由来には、ギリシア神話に登場する巨人(巨神)の一人です。
喧嘩をする時は、3本の角と、長い脚を巧みに使い相手を挟みこみ放り投げるのが戦闘スタイル。
角のサイズは亜種により若干の違いがあります。
注意点としては、コーカサス同様に背中と羽の部分の間がとても鋭利になっているので、指を入れると皮膚を切られて血が出ることもあるので気をつけること!
アトラスオオカブトは東南アジアに広く分布しており、マレー半島やインドシナ半島が主な生息地です。
また、魅力の一つとしてボディカラーもその一つ。こちらもコーカサス同様に、頭と前胸部分は黒色ですが、背中の部分(前翅)は青銅色、緑銅色、紫銅色、などのメタリック感がなんとも言えず美しいのです。
体長は♂75mm - 133mm、♀40mm - 67mm。
なお、亜種により大きさが違います。
・アトラスオオカブト(基亜種)Chalcosoma
スラウェシ島など。サイズは50 - 100mm。
・フィリピンアトラス(フィリピン亜種)Chalcosoma atlas hesperus
フィリピンのミンダナオ島亜種として、ミンダナオアトラスと呼ばれています。
サイズは50 - 110mm。
・ネシアアトラス(インドネシア・マレー半島亜種)Chalcosoma atlas keyboh
マレー半島、スマトラ島、カリマンタン島など。40 - 100mm。
・インドアトラス
ミャンマー、タイ、ラオス、インド北部に生息する。
他に、日本での流通は少ないのですが、
- ペレンアトラス ssp. shintae
- ブトンアトラス ssp. butonensis
- シムルエアトラス ssp. simeuluensis
などが存在しています。
[コーカサスとアトラスの違い]
見分ける方法のひとつとして、頭から出ているツノ(頭角)の中央部に突起があるかどうかで判断します。
突起があればコーカサス。突起がなければアトラスです。
※胸角と頭角を勘違いしやすいのですが、上の2本出ている角が胸角。顔の部分から出ている1本の角が頭角です!
しかしながら、コーカサスの小型の場合突起が出てこないものもいます。
日本には定期的に輸入されている種のため、価格も(大きくなければ)お手頃な価格で手に入りますのでぜひチャレンジしてみてください!
和名:アトラスオオカブト
学名:Chalcosoma atlas
スラウェシアトラス(WD個体 82mm)
この個体は緑が強いメタリック
♀も緑の光沢が出ています。
裏側、足は赤褐色。
このページではアトラスオオカブトの飼育方法を六脚堂の飼育方法や定説として言われている方法を掲載しています。
飼育する環境、地域、生体そのもののポテンシャルも大きな要素となりますので、あくまで参考としていただければ幸いです。
飼育方法は以下のとおりです!
□□□ 成虫の飼育方法 □□□
寿命:
成虫の平均寿命は 3〜6ヶ月
(輸入採集個体の場合は不明です)
飼育温度:
20〜24℃前後
25℃を超えるとちょっと危険です。
(越冬はしませんので温度管理をしっかりしましょう)
成虫育成メモ:
1〜1ヶ月半程度で後食を開始します。成熟の目安は後食から更に1ヶ月程度。
大きさによって開始時期が変わります。
寿命は長くは無いので、ゼリーを食べる勢いが増してきたらペアリングの合図ですね。
♂が♀を同じケース内で飼育することは避けたほうが無難です。
♀をも攻撃してしまいます。
飼育ケースは、中型ならデジケースHR-2。大型ならクリアスライダー(大)など
を使用するのがおすすめです。
□□□ 卵の産ませ方 □□□
卵を産ませるにあたっては♂♀それぞれが成熟していて、交尾・産卵可能な状態であることが必要になります。
羽化日、後食開始日、後食開始から成熟までの個体差もありますのでこの情報を鵜呑みにしないようご注意ください!
1〜1ヶ月半で後食がスタート。そこから2〜4週間位で16gゼリーを♂も♀も1日で食べきります。こうなったら成熟は完了と考えます。
たっぷりと食べさせて体力を蓄えてもらいましょう。
成熟していれば、♀に♂を乗せるだけですぐにペアリングが始まります。
《産卵セット》
完熟系のカブトマットでOKです。
水分量は多くもなく少なくもなく。ギュッと握って固まりが出来る程度。
(水が染み出るようでは多すぎです!)
セット期間は1〜2ヶ月程度で。
たくさん採卵の場合は2週間に一度行い、何度もセットを組み直して続けましょう。ケースは大ケースが良いと思います
温度はやや高めで、25〜28℃で設定すると良いと思います。
《ペアリング方法》
カブト系は、ハンドペアリングがおすすめです!
1)飼育ケースなどに♀が潜れない程度のマットを敷きます。
発泡スチロールの上や、鉢底ネットを引いて行う方法もあります。
2)♀を先にケースに入れ、その上にそっと♂を乗せます。
3)♂、♀ともに成熟している場合は、そのままペアリングを開始してくれます。
とはいえ、生き物です。お互いに無反応ということや、♀が逃げ惑うこともあります。それが30分も続くようであれば日を改めることをおすすめします。
詳細はこちらから!
□□□ 幼虫の飼育方法 □□□
【お勧めのエサ】
発酵マット。カブトマット。
幼虫期間が長いので、初〜2令後期まではプリンカップから800ボトルで。
3令からは1400~1800CC程度に切り替えましょう。
ヘラクレスオオカブトのような長い蛹室を作るわけではありませんが、長い角を出したいので大きめが良いですね。
交換は途中3〜4回程度。(ボトルサイズによります)
エサ交換をしっかりすれば、問題なく育ってくれます。
ここでとても大事な【注意】があります!!!
何かと言いますと、、、、「脱走します。」幼虫が脱走するのです。
六脚堂の子は脱走しました。
『ワンダリング』と言って、地表に出てきて這いずり回るのです。
1)タッパーのようなケースは、フタをこじ開けて出ていきます。(本当です)
2)ボトルの空気穴が大きい場合、タイペストシールなどをこじ開けて脱走します。
よって、大きなボトルを使い、蓋ギリギまでマットを入れないことです。そして、ボトルの空気穴は小さめのものが数か所開いているもの(または自作)を使用しないと、ほぼ脱走しますので、注意を!
【設定温度】
20~25℃程度で。
【孵化から羽化までにかかる時間】♂で11〜16ヵ月程度。
♀で10〜13ヵ月程度。
大型の♂になると、最大羽化が半年ずれることもあるのでタイミングを合わせる必要がありそうです。
※管理環境(管理温度、飼育するエサ等)の違いによって個体差があります!
この記事は2023年5月の記事です。
トレンドが変わったらまた追記していく予定です。
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