アマミヒラタクワガタの飼育方法|ペアリングから幼虫管理まで
『アマミヒラタクワガタとは』
アマミヒラタクワガタは、奄美大島,加計呂麻島,与路島,請島に生息するヒラタクワガタです、いわゆるヒラタクワガタの奄美大島産亜種となります。
同じ島にスジブトヒラタクワガタ(Dorcus metacostatus)も生息しており、アマミヒラタもスジブトと似た縦スジ模様が明瞭でないけれども存在し、小型になるほどはっきり現れるという特徴があります。
内歯は大アゴの中央付近に付く傾向があり、国産ヒラタの中では大きめの種になります。
サイズは♂:25~75mm 、♀:30~40mm
2024年 BE-KUWAレコードは81.8mmとなっています。(野外レコードは75mm。)
なお、2021年に奄美大島が世界遺産登録されたことにより昆虫の乱獲が取り沙汰されておりますので、将来的にができなくなるかも知れない種ですので、飼育されている方は大切にブリードされると良いかも知れませんね。
なお国産ヒラタクワガタ(titanus属)には下記の全12亜種が存在しています。
国産ヒラタ 12亜種
クワガタの種類 | 学名 | 分布地域 |
---|---|---|
ヒラタクワガタ | D.titanus pilifer | 本州~九州,種子島,屋久島,伊豆諸島 |
ダイトウヒラタクワガタ | D.titanus castanicolor | 大東諸島 |
アマミヒラタクワガタ | D.titanus elegans | 奄美大島 |
ハチジョウヒラタクワガタ | D.titanus hachijoensis | 伊豆諸島(八丈島) |
ゴトウヒラタクワガタ | D.titanus karasuyamai | 五島列島 |
オキナワヒラタクワガタ | D.titanus okinawanus | 沖縄諸島 |
オキノエラブヒラタクワガタ | D.titanus okinoerabuensis | 沖永良部島 |
サキシマヒラタクワガタ | D.titanus sakishimanus | 八重山諸島 |
トカラヒラタクワガタ | D.titanus takaraensis | トカラ列島(宝島) |
イキヒラタクワガタ | D.titanus tatsutai | 壱岐 |
トクノシマヒラタクワガタ | D.titanus tokunoshimaensis | 徳之島,与路島,請島 |
こんなにいると、何種か集まったらコンプリートしたくなっちゃいますね!!
オオクワガタやノコギリクワガタも良いですが、ヒラタも存在感とかっこよさがありますね!
寿命も長いのですが、爪のしっかり感は最高。
ボディの厚さはオオクワガタに劣りますが、スマートで長いフォルムに魅了される人も多いのが本種。
丸みのあるボディに光沢感。
コクワガタの♀ちゃんは篆刻が多く、この様な光沢は出ません。
オオクワガタの♀ちゃんは上下の厚さがあります。ヒラタは名前の通り薄い感じですね。
和名:アマミヒラタクワガタ
学名:Dorcus titanus elegans
採集個体いただいた ♂です。24年の夏にいただいたのですが、すでに前足の符節が取れ始めています。羽化後1年ほど経っていたのでしょうか。
65mmの個体ですが、シャープなツシマヒラタとクワべて幅が広く、いかついイメージです。
胸部には小さな点刻。上翅は艶があります。
♀もいれば累代をしたいところではありますが。
このページではアマミヒラタクワガタの飼育方法を六脚堂の飼育方法や定説として言われている方法を掲載しています。
飼育する環境、地域、生体そのもののポテンシャルも大きな要素となりますので、あくまで参考としていただければ幸いです。
□□□ 成虫の飼育の仕方 □□□
寿命:
2〜3年程度
飼育温度:
20~25℃前後
後食まで:
1〜3ヶ月程度です。サイズや個体差があるようですね。
「後食とは」
成熟期間:
後食後 2~3ヵ月程度(羽化してから交尾できるまでの時間)
急ぐと産卵数が少なかったり、無精卵だったりするようです。一度越冬させるほうが産卵成功率が高いとおっしゃる方もおります。
成虫飼育メモ
他のヒラタクワガタと同様の方法で飼育できますが、♂はやや攻撃的なので、♂と♀は別々のケースで飼育することが望ましいです。
越冬のさせ方:
冬になり、15℃を切り始めると越冬(休眠)します。
飼育ケースの中に、昆虫マットを深めに入れ、朽ち木や木の葉を入れておくとその下に潜って行きます。
しかし、暖かい日(15度を超えると)にはマットの上に出てくる事があるので、ゼリーは常に入れておきましょう。 また、乾燥は良くないので適度に霧吹きを忘れないように!
北海道などの場合、下は5℃くらいまで問題有りませんが0℃を切ると危険です。
□□□ 卵の産ませ方 □□□
卵を産ませるにあたっては♂♀それぞれが成熟していて、交尾・産卵可能な状態であることが必要になります。
羽化日、後食開始日、後食開始から成熟までの個体差もありますのでこの情報を鵜呑みにしないようご注意ください!
※国産ヒラタクワガタは、全て同じ方法で産卵が可能です。
※クワガタ、カブトムシは羽化してすぐに卵は産みません!
【産卵】
ヒラタ種なので基本マット産みですが、産卵材にも産みます。また産卵木を入れると足場になりやすいので埋め込みセットで準備しましょう。
材は柔らかめで芯の無いものがおすすめです。
【産卵マット】
完熟系のマットが良いです。
【産卵セット】
マットのみでもOKです。完熟系で。
材を入れるなら、クヌギ、コナラ。材を入れる場合は柔らかめが理想です。
水分量は材の加水時間、使用するケースにもよりますが少なめで良いです。底面のマットは固く詰め、材はすべて埋めてください。
【ケースサイズ】
Mサイズ程度。
中サイズの材を2本の場合は、クリアスライダー(大)、コバエシャッター(小)
などを使用しましょう。
【水分量】
手でぎゅっと握って団子が出来て、なおかつ水が染み出ない程度。
【マットの詰め方】
ケース底面7割程度固く詰めて上部3センチはフンワリと。
【設定温度】
25〜27℃前後
【ケース】
材の大きさに合わせて選びましょう。
<マットのみで産卵を行った場合>
【お勧めのマット】
ヒラタクワガタは根食い系ですので熟度の高い、微粒子のマットがおすすめです。
【お勧めの容器】
【水分量】
手でぎゅっと握って団子が出来て、なおかつ水が染み出ない程度
【マットの詰め方】
ケース底面7割程度固く詰めて上部はフンワリと。
【設定温度】
25℃前後
<材も使用して産卵セットを組んだ場合>
【お勧めのマット】
ヒラタクワガタは根食い系ですので熟度の高い、微粒子のマットがおすすめです。
【お勧めの容器】
【水分量】
手でぎゅっと握って団子が出来て、なおかつ水が染み出ない程度
【セット方法】
ケース底面3センチ程度を固くつめ、材を入れ、その回りも固く詰めます。 上部2~3cmほどは柔らかくマットを入れる。 少し材の頭が出るようにセット!
【ペアリング方法】
1)飼育ケースなどに♀が潜れない程度のマットを敷きます。
発泡スチロールの上や、鉢底ネットを引いて行う方法もあります。
2)転倒防止用に、樹皮や足場、ゼリー皿、をセット。
3)♂、♀を投入し3日〜7日間ほど一緒にしておきます。
※ほぼ交尾が済んでいると思われるので♀を取り出し産卵セットに投入します。
※ ヒラタクワガタは興奮して♀を攻撃することもあるので、♂のアゴを縛って
同居させることをおすすめします!
この動画は、本土ヒラタクワガタの同居ペアリングの様子です。
100均のケースの底に、これも100均の鉢底ネットをガムテープで止めただけのものです。
♀の隠れ家として、樹皮を1枚入れています。
□□□ 幼虫の育て方 □□□
※国産ヒラタクワガタは、全て同じ方法で飼育が可能です。
【お勧めのエサ】
クワガタ用発酵マットでOKです。菌糸ビンでも飼育は可能です。マットはヒラタクワガタ用のものも市販されています。
♂は1000〜1400CCのボトル交換で途中1回程度。
♀は800CCで1回程度。
※温度や菌糸の劣化具合、食い進みにより変化はあります。
大型を狙うなら、管理温度を20℃に設定し、1400ボトルよりも大きな1800ccなどに投入することも有効な場合が有ります。(大型を狙う要素はボトルのおおきさだけではないですが。。)
【設定温度】
25℃前後です。
【孵化から羽化までにかかる時間】
マット飼育の場合: ♂:1令投入して合計10~14ヶ月程度 ♀:1令投入して合計8~10ヶ月程度
菌糸飼育の場合は、1~2ヶ月程度早く羽化します。
※管理環境(管理温度、飼育するエサ等)の違いによって個体差があります!
約1ヶ月半~2ヶ月経つと、ケース底や側面に幼虫が見えて来ます。(内側にいることもありますが。)もし卵も幼虫も見えない場合、ペアリングがうまくいってないことも有ります。
そんなときは♀を一旦取り出し、♂と再度ペアリングにチャレンジしたほうが良いかもしれません。
ヒラタクワガタはとても魅力的は種です。
スマートな美しさ。飼育も容易。入門種としても最適です!
皆様も是非機会が御座いましたら一度飼育チャレンジしてみて下さいませ。(^^)
この記事は2024年11月の記事です。
トレンドが変わったらまた追記していく予定です。
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