ルニフェルホソアカクワガタの飼育方法|ペアリングから幼虫管理まで
『ルニフェルホソアカクワガタとは』
ミャンマー南東部から、インドネシアのスマトラ島、ボルネオ島に生息するホソアカクワガタ。
頭楯が前方に長く張り出し、先が二股に分かれるところからテングホソアカクワガタと呼ばれます。写真は褐色に近い色味ですが、稀に緑がかった個体も出てくるそうです。
メタリフェルホソアカクワガタや、エラフスホソアカクワガタなどと同様のキクロマトス属ですがサイズはこれらに比べて大きくならず、♂で20~50mm程度で、♀は15~20mm程度と小さめの種になります。
見た目もメタリックな発色ではなく、♂は非常に細い体毛があり頭部は褐色で上翅は茶色っぽく、なかなか見られない色をしています。♀も独特の色合いで、前胸部から2本の黒い筋が通っています。
キクロマトス系(ホソアカクワガタ属)の仲間の多くは高地に生息し花の蜜などに集まるらしく、日本の夏の高温には弱いので飼育難易度が高いと言われますが、ルニフェルは比較的低地にも生息地が分布しているので適応力があるため、あくまでキクロマトス系のなかではありますが飼育・繁殖が容易な種類です。
小さくて場所も取られないのでぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ちなみにですが、ホソアカクワガタには結構な種がいますがどこまで知っていますか?
世界のホソアカクワガタ一覧
名前 | 産地 |
---|---|
アサヒナホソアカ | 台湾 |
ホソアカクワガタ | 台湾 |
トサカホソアカ | ベトナム・中国・台湾 |
ズベールホソアカ | フィリピン |
ルニフェルホソアカ | ボルネオ・スマトラ・ミャンマー |
バスチュールホソアカ | スマトラ |
クブレオニテンホソアカ | スマトラ |
スズムラホソアカ | パラワン |
カナリクラトゥスホソアカ | ボルネオ・スマトラ・マレー |
モンタネルホソアカ | ボルネオ |
チュウホソアカ | ボルネオ |
アラガールホソアカ | パラワン |
ギラファホソアカ | ボルネオ |
タランドゥスホソアカ | ボルネオ |
エラフスホソアカ | スマトラ |
メタリフェルホソアカ | ペレン |
メタリフェルホソアカ | セレベス |
インペラトールホソアカ | パプアニューギニア・イリアン |
プルケレスホソアカ | ニューギニア |
マルガリータホソアカ | ニューギニア |
スペキオスホソアカ | ブーゲンビル島 |
いくつ知っていましたか?
エラフスホソアカや、インペラトール、チュウホソアカなどは大きくもなるので人気種です。
【和名】ルニフェルホソアカクワガタ
【学名】Cyclommatus lunifer
スマトラ ベンクール産:♂41mm
アゴとアゴの間の頭楯は、フライミヤマやプラネットミヤマを彷彿させますね。
色合いがとてもきれいなので、観賞用としても所有感が高い種です。
温度を低くしすぎなくて良いのも特徴です。
♀:21mm
このサイズの♀は本当に小さくて可愛らしい。
ここからは、ルニフェルホソアカクワガタの飼育方法を六脚堂の飼育方法や定説として言われている方法を掲載しています。
飼育する環境、地域、生体そのもののポテンシャルも大きな要素となりますので、あくまで参考としていただければ幸いです。
□□□ 成虫の育て方 □□□
寿命:
成虫の平均寿命は、3〜6ヶ月ほど。
※ペアリングや産卵の回数によっては短くなります。
飼育の適温:
20〜23℃程度
成虫育成メモ:
外国産なので越冬はしませんので温度管理が必要です。
成熟までは後食を始めてからおよそ1ヶ月程度。短命なので羽化後の成熟も他の種に比べて早いような気がします。
□□□ 卵の産ませ方 □□□
卵を産ませるにあたっては♂♀それぞれが成熟していて、交尾・産卵可能な状態であることが必要になります。
羽化日、後食開始日、後食開始から成熟までの個体差もありますのでこの情報を鵜呑みにしないようご注意ください!
《ペアリング方法》
キクロマトス系は、人がいると警戒心が強い子が多いので同居ペアリングがおすすめです!
1)飼育ケースなどに♀が潜れない程度のマットを敷きます。
(隠れ場所として樹皮や専用餌皿があると良いです)
2)大きすぎないケースにゼリーを一つ置きます。
(ゼリーが♂♀の出会いの場とするためです)
3)攻撃力の高いヒラタ系、ノコギリ系は顎縛りしましょう
4)3〜7日同居させ、「メイトガード」していたらほぼペアリングが完了しています。
詳細はこちらから!
【産卵セット】
マット産みなので材を入れる必要はありません。
しかし材を入れることで足場になり産卵が進むという方もいらっしゃいます。材を使うときは柔らかめのものを使用しましょう。
水分量はやや多めにしますが、握って染み出ない程度にとどめます。また材を入れる場合は材の加水具合によってマットの水分量を減らすなど変化を付けましょう。
※材にたっぷり加水されている場合はマットの水分は少なめにしないと、 劣化が激しくなったりマットにも影響があります。
マットの下7割程度まで手で押さえつけてカチカチに固めます。あとはふんわりとマットをひいてください。
産卵用マット:
フォーテックさんの《産卵1番》で良い結果が出ています。
(幼虫飼育をそのまま産卵一番だと、栄養が足りず大きくなりにくいですね。)
【ケース】
小〜中ケースを用意します。
産卵管理適温:
20〜23℃前後
転倒防止にはハスクチップがちょうど良いのですが、私はマットを再利用したいときにキッチスポンジを切って置いています。小型種の場合はマットも汚れないし重宝します。
【割り出し】
産卵セットに♀を投入してから1カ月~2ヶ月経つと、ケースの側面に幼虫が見え始めます。幼虫が見え始めましたら産卵セットを開けて、中の幼虫を取り出します。卵はとても小さいので、採卵よりもできれば幼虫での割り出しが理想です。
材を使用した場合、材の外からは幼虫は見え無いので確認ができませんが、2ヶ月立っていれば割り出しをしてみましょう。
出てきた幼虫はプリンカップなど小さい容器で管理を行います。プリンカップは200CCのサイズでOK。マットは産卵に使用したものと同じ種類の物を使用しましょう。
□□□ 幼虫の育てかた □□□
【お勧めのエサ】
KBファームさんの栄養フレークや、六脚堂 高栄養マットなど発酵の浅いものでも可能です。
【えさ交換回数】
500ccのボトル程度で途中1〜2回。
♀なら300ccのカップでも充分です。
※温度やマットの劣化具合、食い進みにより変化はあります。
【設定温度】
18~25℃前後、温度の守備範囲が広いですが、低めを推奨します。
30℃に近くなると☆になる幼虫が激増しますので注意です。
【孵化から羽化までにかかる時間】
4〜6ヶ月程度。
大きい♂でも50mm程度なので、サイクルがとても早いです。
また、メスがより小さいため♂との羽化時期のズレが出やすいのです。
(これを羽化ズレと言います。)
《羽化ずれとは》リンク
※管理環境(管理温度、飼育するエサ等)の違いによって個体差があります!
この記事は2023年9月の記事です。
トレンドが変わったらまた追記していく予定です。
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