アンタエウスオオクワガタの飼育方法|ペアリングから幼虫管理まで
『アンタエウスオオクワガタとは』
「アンテ」という愛称で呼ばれるアンタエウスオオクワガタは、太く湾曲の強い大アゴ、光沢感が強く幅も広いボディが特徴のオオクワガタです。
もともとは1種での登録されていたのですが今は3亜種に分かれました。産地(亜種)ごとに少しずつ形の差異があるので、産地別に飼育するブリーダーさんがいるくらいです。
当初は珍しく、100万円がついたとも言われていますがいますが、飼育難易度は高くないため今ではブリード品が多く販売もされています。
実はかなり広域に分布されているアンタエウスオオクワガタですが、以下の地図を御覧ください。
前述したように、丸く囲った地域で3系統に分かれます。
Dorcus antaeus antaeus (原名亜種)
・ヒマラヤ系
特徴は長く直線的な大アゴ。大型の個体では、内歯が先端寄りに位置して、前方を向きます。また、体の光沢が強くもっとも体長が大きくなる産地です。
インド産と聞くと暑いところで採れたと思われがちですが、高標高(2〜3000m)で採集されることから特に暑さに弱く理想飼育温度は23度程度といわれます。
幼虫も低温飼育がマスト。1年中18〜20度程度が理想の飼育温度と思われます。
□産地
インド(ウエストベンガル、シッキムなど)
ブータン(ダンプー、トンサ、モンガル、シェムガン)
ネパール(コシ)
ミャンマー(サガイン)
2024年 BE-KUWAレコード 野外 88.0mm 飼育レコード 94.2mm
インドアンテと略されます。
Dorcus antaeus miyashitai
・インドシナ系
大顎の湾曲が強く、内歯が基部寄りに付いて内側を向きます。他亜種と比較してとにかく横幅が
太く出るのも特徴で、私はこのmiyashitai亜種が好みです。
□産地
タイ(ドイサケット、チェンマイ、ウイアンパパウ)
ラオス(シェンクアン)
ベトナム(カオバン、サパ)
ミャンマー(カチン、チンヒル)
2024年 BE-KUWAレコード 野外 85.5mm 飼育レコード 85.7mm
個体差もありますが、大アゴが太い個体は多くはありません。ベトナムアンテは大アゴの湾曲が強いと言われています。
Dorcus antaeus datei
・マレー系
3つの産地の中では最も南の産地となります。インドシナ系に似ていますがより顎の湾曲が強く、内歯が大きくなるのが特徴です。また、頭部はやや艶消しでザラザラした印象を受けます。
また、基部も他産地と比較して太くなる傾向にあるため極太愛好家の方々に人気があります。
□産地
マレーシア(キャメロンハイランド、ゲンティンハイランド、ブレイザーヒルなど)
2024年 BE-KUWAレコード 野外79.0mm 飼育レコード 83.2mm
キャメロンハイランド、ゲティンハイランドという高標高の地域で採集されるため、ヒマラヤ系と同様、高温に弱いクワガタです。飼育温度は20~25℃が最適と思われます。
なお、他にもオオクワガタの仲間は世界にたくさん存在します。
1)ホペイオオクワガタ(中国) 詳細はこちら
ちなみに日本のオオクワガタは、ホペイの亜種になります。
2)グランディスオオクワガタ 詳細はこちら
ラオス、ベトナム、中国。
ミャンマー、インドに生息するのは亜種で moriyaiと呼ばれます。
3)パリーオオクワガタ
フィリピン パラワン島
などがおりますので、それぞれの顎の特徴を見て、好みのオオクワガタを探すのもまた楽しいですよ。
和名:アンタエウスオオクワガタ
学名:Dorcus antaeus
由来はギリシャ神話、巨大アンタイオス」
スマトラの大顎もいいのですが、大歯と内歯の2本の美しさがオオクワガタにはありますよね。
(写真はインドシナ系:タイ ドイサケット産)
圧倒的な横幅が出てくるのが、タイアンテの特徴。アルキデスヒラタクワガタとまた違ったフォルムがかっこいい。
クルビデンスの様に内歯が内向きに出るのも特徴の1つ
このページではアンタエウスオオクワガタの飼育方法を六脚堂の飼育方法や定説として言われている方法を掲載しています。
飼育する環境、地域、生体そのもののポテンシャルも大きな要素となりますので、あくまで参考としていただければ幸いです。
寿命:
成虫の平均寿命は、1年~2年半ほど。(環境により変化あり)
飼育の適温:
15℃から25℃まで。3亜種とも、理想は18~23℃。
成虫育成メモ:
とにかく高温に弱いので、温度管理には注意したいところですね。ブリード目的でも鑑賞目的でも、エアコンがない環境で飼育するなら、秋口に入手するのが良いですね。高温が苦手と言っても、低いところでは10℃を切ると危険です。
成熟期間:
約6ヶ月(サイズによる違いが有ります)
卵を産ませるにあたっては♂♀それぞれが成熟していて、交尾・産卵可能な状態であることが必要になります。
羽化日、後食開始日、後食開始から成熟までの個体差もありますのでこの情報を鵜呑みにしないようご注意ください!
【ペアリング】
2〜3ヶ月で後食し、その後2〜3ヶ月で成熟と言われています。
(大きさにより個体差があります。しっかりと様子を見てあげて判断してください。)
ペアリングするのは6ヶ月程度待つと良い結果が得られると思います。
またペアリングは温度を上げるとスイッチが入りやすいと言われますがアンタエウスは高温が苦手。低温でもしっかりと成熟していればすんなりと初めてくれます。
常温飼育の場合は、とにかく高温にならないように注意してあげてください。
グランディスオオクワガタのペアリング風景
是非参考にしてください。
【産卵セット】
基本はマット産みですので、産卵材を無理に入れる必要はありませんが、産卵材をいれると材にも卵を産みます。
材はクヌギ、コナラ。人工カワラ材何でもOK。また、材は埋め込まずに、2/3が出ている状態で組みましょう。
セット後は暗所にて保管し、ゼリー交換(週に一度位)のときのみ観察しましょう。材の樹皮は捨てずに六脚堂では転倒防止などに再利用しています。
【ケース】
材の大きさに合わせて選びましょう。
中サイズの材を2本の場合は、クリアスライダー(大)、コバエシャッター(中)などを使用します。
産卵管理適温:
18〜22℃が理想です
ペアリング方法:
1)飼育ケースなどに♀が潜れない程度のマットを敷きます。
2)転倒防止用に、樹皮や足場、ゼリー皿、をセット。
3)♂、♀を投入し7日間ほど一緒にしておきます。
※ほぼ交尾が済んでいると思われるので♀を取り出し産卵セットに投入します。
※ 温厚なオオクワガタであっても興奮して♀を攻撃することもあるので、ハンドペアリングのほうが安全ではありますが、♂のアゴを縛って同居させることをおすすめします!
【産卵SET方法】
水分量は材の加水時間、使用するケースにもよりますが少なめで良いです。
底面のマットは固く詰め、材が半分以上露出するように埋めてください。材の周りを
掘り進むので、時間が経つと材は動くようになります。
【お勧めのエサ】
オオヒラタケの菌糸ビンがよく使われています。
マットでも飼育は可能ですが、菌糸ビン飼育のほうが大型が期待できます。
♂は1100〜1400CCのボトル交換で途中2〜3回。
♀は800CCで2回程度。
※温度や菌糸の劣化具合、食い進みにより変化はあります。
大型を狙っていく場合、メスは800CCボトルで問題ありませんが、♂のボトルサイズを800CC→1400CC→2300CCと大きくしていくことがベターです。
【設定温度】
18~22℃前後で
【孵化から羽化までにかかる時間】
♂:10~12ヶ月程度
(大型の♂だと14ヶ月掛かったりもしますね。)
♀:8~10ヶ月程度
※管理環境(管理温度、飼育するエサ等)の違いによって個体差があります!
大型を狙うために低温飼育した場合は羽化まで1年以上かかり、♀との羽化時期のズレが起きやすくなります。
その時は幼虫時に♂と♀の温度差をつけてタイミングを計るか、もしくは交尾時期が合わない場合には別血統の♀を用意することが必要になる場合もあります。
この記事は2024年9月の記事です。
トレンドが変わったらまた追記していく予定です。
★★★★★★★★★★★★★★★★
たくさんの種類のカブクワ情報発信中です!
舶来 六脚堂(はくらい ろっきゃくどう)
X(旧Twitter) ぜひフォロー& 通知を取ってください!
★★★★★★★★★★★★★★★★