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ローゼンベルグオウゴンオニクワガタの飼育方法|ペアリングから幼虫管理まで

KAZ.YOSHII

『ローゼンベルグオウゴンオニクワガタとは』

大きくくびれ、先端が3又になった特殊な形の大アゴと、金色に輝く体を持つ神秘的なクワガタです。色は金色味の強いものと、青みがかった灰白色の2タイプがあり、湿度の高いところでは黒く変色するのが特徴。

サイズは、♂:42.0~82.1mm ♀:42.5~54.7mm

ジャワ島西部に分布しています。

オウゴンオニクワガタと名前にあるので、ババオウゴンオニなどと同じ種と思われがちですが、同属のモーレンカンプオウゴンオニは4亜種からなるのに対し、ローゼンベルグオウゴンオニ亜種はおらず、独立した位置にいます。

ちなみに、他のオウゴンオニクワガタの亜種ですが、

・モーレンカンプオウゴンオニクワガタ

 これが原名亜種となります。マレー半島、インドネシア(ボルネオ島、スマトラ島)及びミャンマーに生息しています。体色は艶消しで少し銀色かかっていることが多く、モセリと比較して、頭部は小さく、前胸が幅広く、大顎も短いようです。

・モセリオウゴンオニクワガタ

 原名亜種より体型は細く、背中の光沢が強いです。 上翅には、全体に不規則な浅いしわがあり、前胸側縁の突起は、やや弱いのが特徴。 本種の亜種の中で最も大型の亜種である。

・フルストファーオウゴンオニクワガタ

ボルネオ島(カリマンタン島)に生息しています。全体的にずんぐりむっくりしており、モーレンカンプ原名亜種に似ていますが、前胸背板がザラついており、体色も原名亜種よりもくすんだような色味をしています。また、採集できる数が少ないため、オウゴンオニクワガタ属の中では最も希少種と言われています。

・ババオウゴンオニクワガタ

 ミャンマーのタニンダーリ州(旧テナセリウム)の限られた地域に生息しており、オウゴンオニクワガタ属の中で最も美しいとされており日本では一番人気のある本種。

 モーレンカンプの亜種の中では最も金色に近い体色をしており、モセリと比較して大顎もやや外股を向き、翅にも光沢がある点が特徴。

現在オウゴンオニクワガタ属の中では最も流通数が多いですが、本亜種に分類される個体が極端に限られた地域にしか棲んでいないため現在本亜種として流通している飼育個体が本当にババなのかと疑問の声も出ており、sspやタイオウゴンオニ等と区分けされ始めています。

今はババオウゴンオニ、ローゼンベルグオウゴンオニが人気で価格も高騰しております。(2024年現在)

これらオウゴンオニ系は、数年前までは大変飼育が難しい種類と言われてきました。しかし、最近では飼育方法が広く知られることになり、ビギナーでも産卵や羽化に成功させる人が増えてきました。

なお菌糸でしか育たないのと、菌糸も「カワラ菌糸」でなければいけなく、癖の強い種だと言われています。

和名:ローゼンベルグオウゴンオニ

学名:Allotopus rosenbergi

WF1 西ジャワ スカブミ(63mm)

顎の形は他のオウゴンオニとは違う湾曲(外に広がる)が出現します。また、複眼の横に突き出る突起がローゼンベルグの特徴

♀も、♂同様に湿度が高いと黒くなり、乾いてくると金色に変色します。

ここからはローゼンベルグオウゴンオニクワガタの飼育方法を六脚堂の飼育方法や定説として言われている方法を掲載しています。

飼育する環境、地域、生体そのもののポテンシャルも大きな要素となりますので、あくまで参考としていただければ幸いです。

□□□ 成虫の飼育の仕方 □□□

寿命:

成虫の平均寿命は 8〜10ヶ月(温度管理下で)

ペアリングをすると寿命は縮まります。

飼育の適温:

22〜25℃程度

冬を越しますが冬眠はしませんので温度管理された部屋で飼育してあげましょう。

成虫育成メモ:

湿気を少なめに飼育すると、体がオウゴンに光り始めます。

かといって乾燥しすぎると寿命に響きますので最低限の湿度はキープしましょう。(軽くマット表面が湿っている程度)

1ヶ月半〜2ヶ月程度で後食を開始します。成熟の目安は後食から更に2〜3ヶ月後と言われています。焦って無精卵を産ませないようにしっかりと成熟させたい

ところですね。

□□□ 卵の産ませ方 □□□

卵を産ませるにあたっては♂♀それぞれが成熟していて、交尾・産卵可能な状態であることが必要になります。

羽化日、後食開始日、後食開始から成熟までの個体差もありますのでこの情報を鵜呑みにしないようご注意ください!

ペアリングについては、♀への攻撃はあまり起こらない種なので同居でも顎縛りは不要です。

(六脚堂ではしたことがありません。)

《ペアリング方法》

カブト系は、ハンドペアリングがおすすめです!

1)飼育ケースなどに♀が潜れない程度のマットを敷きます。

  発泡スチロールの上や、鉢底ネットを引いて行う方法もあります。

2)♀を先にケースに入れ、その上にそっと♂を乗せます。

3)♂、♀ともに成熟している場合は、そのままペアリングを開始してくれます。

とはいえ、生き物です。お互いに無反応ということや、♀が逃げ惑うこともあります。それが30分も続くようであれば日を改めることをおすすめします。

詳細はこちらから!

《カブトムシ・クワガタのペアリング方法》

《産卵セット》

最近は産卵セットのバリエーションが増え、皆さんの様々なチャレンジがブログなどで公開されていますね。基本中の基本としてカワラ材のセット。

前述の通り他のバリエーションとしてレイシ材を使うケース、カワラ菌糸ボトルそのままでの産卵、カワラ菌床ブロックを使う産卵などです。

トレンド順でいくと、

1)レイシ材を使用する(レイシ棒という商品も2022年より販売されています。)

2)カワラ材を使用する

3)カワラブロックを使用する

※3は菌糸の勢いが落ち着いた2ヶ月程度保管したものを使用しているようです。卵や初齢幼虫が菌糸に巻かれてしまうからです。

様々なブログを見ても分かる通り、これには反応するが、これにはしない。これにはたくさん産んだがこれには産まなかった。。。などの記事が見られます。

完全に、それぞれの♀ちゃんの好み?状態?によるものとわかります。

※他にもたくさんこれにまつわるブログがあります。

何が正しい。ということは生き物なのでありません。そこをご理解いただいた上で、たくさん産んでくれることを「祈り」ましょう!

ローゼンベルグの注意点!)

本種はワイルド個体の多くは現地飼育品であることが広く知られています。

(現地飼育品:幼虫採集、現地で飼育、羽化したもの) し、BE-KUWA34号ではその様子が克明にレポートされています。

  • 温度変化の少ない場所に置く(六脚堂では18-20度にて管理)
  • エサは与えず、湿らせたミズゴケ等を入れる
  • 後食の目安はケース内の徘徊行動及び

羽化後3-4か月で活動、後食開始するようですが、それ以上寝る(後食が始まらない)個体も居ますので、とにかく焦らずじっくり見極めることかなと思います。

羽化直後に輸出される個体が多いと思うので、販売されている際のラベルの「通関日」が羽化した時と換算しても良いと思います。

産卵管理適温:

24〜25℃

産卵数の目安:

手法によりますが5〜20個

□□□ 幼虫の育て方 □□□

【お勧めのエサ】

菌糸ビン(カワラ菌糸)。発酵マットでは成長しません。

よって、カワラの菌糸ビンを用意するか、カワラ菌床ブロックを用意し、自身で詰める必要があります。

【えさ交換回数】

♂は1,100CC程度のボトルでも65mmUPが出ているようです。交換は途中1〜2回。

割り出しのタイミングが卵なのか、幼虫なのかでボトル交換のタイミングが肝になります。

【設定温度】

23~25℃前後

【孵化から羽化までにかかる時間】

7~9ヶ月程度。

※管理環境(管理温度、飼育するエサ等)の違いによって個体差があります!

この記事は2023年4月の記事です。

トレンドが変わったらまた追記していく予定です。

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KAZ.YOSHII

映像・WEB・システム開発の会社「WILLPLANT」の代表取締役。

会社内で、幼虫飼育1000頭を行なっているカブクワおじさんでありつつ、ラジコンバギー(ストック)で2022年、全日本16位(JMRCA)。

カブクワバトル動画、カブトコロシアムの主宰でもある。

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