トルンカートゥスホソアカクワガタの飼育方法|ペアリングから幼虫管理まで
『トルンカートゥスホソアカクワガタとは』
トルンカートゥスホソアカクワガタはスマトラ島Mt.デンポーの標高の高い山地に生息する、 メタリックなボディに長い顎が特徴的なクワガタです。
なお、注意として本来この種は『エラフスホソアカクワガタ』と同種とされていましたが、トゥルンカートゥスホソアカクワガタとして独立して分類されるようになりました。経緯は様々ありますが色の違い、大きさの違い、顎の形状などから亜種となったようです。
では何が違うかと簡単に言いますと、
・「大きくならない」タイプのエラフスです。
・顎の根本に紋が無いこと。(エラフスが有り)
・内歯が潰れている。(エラフスは尖る)
が見分け方です。なお、♀の見分け方は裏返して、足に黄紋のあるのがエラフス。無いものがトルンカートゥスと言われます。
色味は光沢のある褐色から茶褐色。ただ青い標本も見たことがありますし、下記の写真の様に緑の強い個体も出現します。(ただ、WDではない累代個体の場合は混ざっている可能性も0では無い気もします。)
むし社さんのXポストでも、当時は種類が分かれているなんて思っていなかったとのこと。そのポストがこちら。
大きさにこだわらないのならば、エラフスホソアカクワガタよりも相当安価に手に入れることが出来ますのでおすすめです。
気になるレコードサイズは、ビークワレコード2023年度版で
飼育 73.6mmに対して 野外が82.2mm
なお、エラフスは飼育97.5mm、野外 109.0mm。
比較的飼育は簡単です。エラフスの様に大きくなるわけでは無いのでメタリフェル感覚で飼育が出来そうですね。
キクロマトス系と称されるホソアカクワガタは大変人気があり、メタリフェルホソアカ、アラガールホソアカクワガタ、インペラトールホソアカクワガタ、スペキオススホソアカクワガタ、チュウホソアカクワガタなど、とにかく発色が豊かなところが鑑賞にもってこいの種です。
和名:トルンカートゥスホソアカクワガタ
学名:Cyclommatus truncatus.
こちらはエラフスの♂85mm。顎の根本に紋が出ます。そして内歯が直線的に鋭利。
こちらがトルンカートゥスの♂77mm。顎が一色です。(褐色のタイプ)
トルンカートゥスは、内歯が潰れている。
こちらは緑のトルン♂65mm。こちらも内歯が尖らず潰れています。形状によっては一度下に下がってから前に向居ているのが特徴。
褐色タイプの♂♀。
緑の強い♂
緑の強い♀。光の当たり方で発色が変わるのが面白いところ。
こちらはトルンカートゥスの♀として購入したものですが、♀の同定方法としてエラフスの♀は足に黄紋があるとのこと。
この子は明らかな黄色が出てます。むむ。
このページではトルンカートゥスホソアカクワガタの飼育方法を六脚堂の飼育方法や定説として言われている方法を掲載しています。
飼育する環境、地域、生体そのもののポテンシャルも大きな要素となりますので、あくまで参考としていただければ幸いです。
□□□ 成虫の育て方 □□□
寿命:
成虫の平均寿命は 4ヶ月〜7ヶ月程度。
ペアリング、産卵すると極端に短くなります。
飼育の適温:
20℃から22℃。
後食まで:
およそ1ヶ月程度です。
成熟は後食したあと2〜3週間程度と言われます。
飼育ポイント:
1)あまり寿命の長い種では無いので、ペアリングのタイミングは重要です!
成熟までは羽化からおよそ2ヶ月かからないくらいですが後食の早い子もいますので、ゼリーの食べる量と活発に活動しているかどうかを目安にしましょう!
2)大顎がながいので、歩きがあまり上手ではありません。
なので、床材はマットだけではなく産卵材の樹皮など引いてあげると良いと思います。
□□□ 卵の産ませ方 □□□
卵を産ませるにあたっては♂♀それぞれが成熟していて、交尾・産卵可能な状態で
あることが必要になります。
《ペアリング方法》
クワガタ系は、人がいると警戒心が強い子が多いので、同居ペアリングがおすすめです!
1)飼育ケースなどに♀が潜れない程度のマットを敷きます。
(隠れ場所として樹皮や専用餌皿があると良いです)
2)大きすぎないケースにゼリーを一つ置きます。
(ゼリーが♂♀の出会いの場とするためです)
3)攻撃力の高いヒラタ系などは顎縛りしましょう
4)3〜7日同居させ、「メイトガード」していたらほぼペアリングが完了しています。
詳細はこちらから!
羽化日、後食開始日、後食開始から成熟までの個体差もありますのでこの情報を鵜呑みにしないようご注意ください!
産卵セット:
産卵材、マットどちらにも産卵しますが、材は入れておいたほうがいいようです。
産卵木はクヌギ、コナラどちらでもOK。
微粒子系の無添加発酵マットを使用し、水分は多めが良く産むようです。
産卵用マット:
フォーテックさんの《産卵1番》で良い結果が出ています。
(幼虫飼育をそのまま産卵一番だと、栄養が足りず大きくなりにくいですね。)
産卵管理適温:
23℃前後
20℃で管理というブログもよく見ますが、この温度帯で産まない。。というブログもありました。♀ちゃんのポテンシャル次第のような気もします。
産卵数の目安:
10~20個程度
環境がマッチすると20〜30頭は1回で産んでくれるようです。
ケース:
小〜中ケースで。♀が小さいのであまり大きなケースは不要です。また卵が小さいので幼虫が見えてから割り出ししたほうが見逃しがないと思います。
□□□ 幼虫の育てかた □□□
【お勧めのエサ】
発酵マット。菌糸。どちらでも飼育できます。
菌糸については、カワラ、エノキなどを使用している話は聞きますが
大型になっているという話はあまり聞きませんので、菌糸をマッチさせることに苦労するようです。大型化についてはまだ情報は少ないですね。
レコード個体は材飼育だったそうです。
【設定温度】
20〜23℃程度。
90mm以上の大型化を狙うなら、17〜19℃の低温飼育で管理し、3令からはボトルも♂は1500cc以上を使いましょう!
【えさ交換回数】
800〜1500CC程度のボトルなら交換途中1〜2回程度でしょうか。
【孵化から羽化までにかかる時間 】
およそ 4~8ヶ月と非常にサイクルは短めです。
大型を狙うための低温飼育で18℃程度をキープすると、マット飼育の場合10ヶ月はかかります。
そうなると、♀は早く出てきてしまうため、盛大に羽化ズレしてしまいますので、累代をしていきたい場合は温度調整をしたほうが良いでしょう。
※管理環境(管理温度、飼育するエサ等)の違いによって個体差があります!
この記事は2023年5月の記事です。
トレンドが変わったらまた追記していく予定です。
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舶来 六脚堂(はくらい ろっきゃくどう)
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